mori-to-tetsu

近代製鉄発祥の地「釜石」というまちがつくりあげたテーブル&チェア

STORY OF mori-to-tetsu

1857年、日本で初めて洋式高炉による出銑に成功した釜石市。まちは「日本の近代製鉄発祥の地」と呼ばれ、2015年には市内にある「橋野鉄鉱山」が、「明治日本の産業革命遺産」のひとつとして世界遺産に登録されました。そんな「鉄のまち・釜石」を支えてきたのが、市の総面積の約9割を占める豊かな森林。
釜石の歴史を築いてきた「木」と「鉄」を使った家具をつくりたい、暮らしのすぐそばで釜石というまちを感じてほしい。そんな思いから『mori-to-tetsu』は生まれました。

釜石を象徴するふたつの素材で家具をつくる

古くから製鉄業が盛んだった釜石市。その歴史を支えてきたのが、釜石地域の豊かな森であったことは意外と知られていないかもしれません。かつて、鉄鉱石を溶かすために用いられていたのは木炭。製鉄業が栄えるためには、同時に豊富な森林資源があることが必須条件でした。日本の近代製鉄発祥の地であり、「鉄のまち」と呼ばれてきた釜石。製鉄業をはじめ、まちの主要産業である漁業や林業を足元で支えてきたのは、市の総面積の約9割を占める森林でもあったのです。

釜石を象徴するふたつの素材、「木」と「鉄」を使って、暮らしに寄り添うような家具ができないか、という釜石地方森林組合の参事・高橋幸男の思いから生まれたプロジェクト。それが『mori-to-tetsu』です。「これまでも木製品の製作は行っていましたが、以前から若い人も使えるような家具をつくりたいと思っていました。釜石の鉄と木を組み合わせた家具なら、きっとかっこいいものができるんじゃないかと」と高橋は言います。

東日本大震災後、森林体験や林業スクールなどをとおして、交流人口の拡大や地域産材の6次化などの取り組みを進めていた釜石地方森林組合。より身近に、触れるたびに釜石のまちや歴史に思いを馳せられるような、新たな「カタチ」を模索していました。

2014年、橋野鉄鉱山の世界遺産登録に期待の高まるなか、木と鉄を使った家具『mori-to-tetsu』は実現に向け動き出します。釜石を象徴する素材を使って、釜石で家具をつくる。そんな思いを共有する作り手たちが、点と点をつなぐように結びついていきました。

林業をとおして釜石の魅力を発信し続けている、釜石地方森林組合の参事・高橋幸男。『mori-to-tetsu』の生みの親であり、プロジェクトの全体統括を担う。
『mori-to-tetsu』のテーブル&チェアのデザインを担当した一級建築士の宮崎達也さん。東日本大震災後、三重県鈴鹿市から釜石に移住。災害公営住宅などの設計を手がける。
昭和21年創業の岩間鉄工所の3代目、岩間邦明さん。テーブル&チェアのアイアン製造、組み立てを担当。自身のブランド「tetsumono」では鉄製小物を製作。

「釜石に暮らす人」の手でつくる

『mori-to-tetsu』の作り手たちをつないだのは、釜石のまちづくりをサポートする復興支援員の組織「釜石リージョナルコーディネーター」(通称:釜援隊)の一員として、釜石地方森林組合に派遣されている手塚さや香。釜援隊のメンバーのひとりが偶然目にした、オリジナルの鉄製小物を手がける岩間鉄工所との出会いがそのスタートでした。

現在、息子の邦明さんが3代目を引き継ぐ岩間鉄工所は、祖父の代から続く鉄工所。従来の鉄製品製造を行うかたわら、邦明さんは自身のブランド『tetsumono』を立ち上げ、スイッチプレートやブックスタンド、アイアンフックなどオリジナルの鉄製小物を製作していました。木と鉄を使った家具の相談を森林組合から持ちかけられた岩間さん。「釜石は鉄のまちといわれながら、『釜石の鉄』を生活のなかで意識する機会は少ない。鉄の風合いや特徴をいかした家具ならば、鉄のまち・釜石を改めてアピールするきっかけにもなるのではないか」と思い協力を快諾。

家具の設計は、東日本大震災後、復興の一助になりたいと出身地の三重県鈴鹿市から釜石に移り住んでいた一級建築士の宮崎達也さんに依頼。釜石の素材を使って、釜石に住む人たちの手によって、釜石ならではの家具をつくるという、理想的な布陣が実現しました。

「木と鉄の組み立ては初めての経験。苦労しましたが、家具を見て鉄の加工っておもしろいなと思ってくれる人がいたらうれしいですね」と話す岩間邦明さん。
岩間さんが展開する『tetsumono』シリーズ。

使う人の「時間」を刻む、やわらかな釜石のスギ

宮崎達也
「釜石のスギは、年を経るごとに赤みがかったツヤが出てくるといいます。長く使ってこそ味わいと愛着の増す家具だと思います」とデザインを手がけた宮崎さん。

『mori-to-tetsu』の第1号の製品としてダイニングテーブルとチェアを選んだのは、毎日使うものだから。日々、触れ、座る、暮らしに欠かせないものだから。

使う木材は、釜石の木材生産量の約9割を占めるスギ。比較的温暖な釜石地域で育つスギはその成長の速さから、やわらかな感触が魅力のひとつでもあります。しかし同時にそのやわらかさは、一般的に家具には向かないとされていました。

「確かにスギはあまり家具には使われません。でも、やわらかくぬくもりのある肌触りはとてもいいと思いました。釜石のスギの特徴をいかしつつ、耐久性や強度を持ったデザインにすることを心がけました」と話すのはデザインを手がけた宮崎さん。

高橋幸男
「mori-to-tetsu」への期待を語る高橋参事

自然の風合いや木目をいかすため、圧密などの加工処理は施さず、45mmの厚手の木材を使うことで強度を確保。ビスやボルトなどの接合金具は使わず、厚みのある木部に丸鋼を貫通させる方法で組み立て。木と鉄以外使わないこの組み立て法は、釜石の木と鉄のつながりを有機的に表現しているのと同時に、木部の反りや歪みを抑える効果もあります。無垢の木の質感に合わせ、アイアン部には無塗装の「黒皮鉄」を使用。

幅狭の材を組み合わせたのには、反りや歪みを防ぐのと、これまで使い道が限られていた間伐などで出る小径木を活用するという意味合いも。「木を伐り、活用し、そしてまた植える。『mori-to-tetsu』の取り組みが、釜石地域の森林保護や育成にもつながっていったらいいなと思うんです」と高橋は期待を寄せます。

岩間邦明
「mori-to-tetsu」誕生に尽力したコーディネーターの手塚

「やわらかいから、ほかの材に比べ傷はつきやすいかもしれません。でもそんな傷も、使う人が刻む歴史。木も鉄も自然の素材。長くそばに置いて、その経年変化が楽しめる家具だと思います」と宮崎さん。「触れるたび、使うたびに、釜石の資源や歴史を身近に感じてもらえたらうれしいです。地元の人にも市外の人にも、この家具をきっかけに釜石にもっと興味を持ってもらえたら。『mori-to-tetsu』を世に送り出す大きな目的は、そこにあります」と高橋。釜石への思いが、そのシンプルで美しいフォルムをいっそう輝かせます。

木のぬくもりが伝わる厚手のスギ材を使用
					鉄そのものの質感をいかした黒皮仕立て
					接合にビスやボルトを使っていないため、すっきりとした見た目
ダイニングテーブル仕様
幅1350× 奥行890× 高さ700㎜ 重量約35.2kg
ダイニングテーブル仕様
チェアー仕様
幅400× 奥行645× 高さ800㎜ 約9.5kg
チェアー仕様

PRICE

1セット/テーブル、椅子4脚 342,000円
テーブル1基 211,000円
椅子1脚 57,000円

表示価格は全て税込表記となっております。

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釜石地方森林組合(視察等担当=手塚さや香)

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