震災からのあゆみ

森林組合から皆様へのメッセージ

~東日本大震災から未来にむけて~

常日頃当組合の運営に多大なるご協力・ご支援を賜り心からお礼申し上げます。
平成23年3月11日に発生した東日本大震災津波により、不幸にも犠牲なられたかけがえのない命に対しまして、改めて衷心より哀悼の意を表します。

令和2年初頭からの新型コロナウイルス感染症の拡大は、瞬く間に全世界に広がり、未だに終息がみえないまま、経済活動は停滞し、“ウッドショック”という言葉の通り、林業界にも多大な混乱や影響をもたらしています。さらに、ロシアによるウクライナへの侵攻など、世界情勢の今後も見通しが効かない状況です。

役職員5名もの尊い命が奪われ、事務所までも失ったことにより組合の存続が危ぶまれた、あの忌まわしい東日本大震災津波被害は、昨日のことのように今も鮮明によみがえります。見慣れ、親しんできた街並みが一瞬にして瓦礫と化し、数時間前まで一緒にいた同僚や知人との突然の別れを経験し、絶望と落胆のなか、目の前のことを少しずつこなすことしかできないままに、進んできた歳月でした。

市内・町内のインフラ整備も落ち着き、復興工事も完成を迎え、これからいよいよ本格的に人口減少・経済の停滞などの地域課題を考えながら「地域経済と暮らしへの希望をつなぐ」復興へ、具体的な取り組みへの基礎固めとする重要な時代が来ております。

森林組合としては、「組合員を第一」に考え、災害に強い地域森林環境保全と森林の経済的価値の向上を目指し、組合員各位から安心して任せていただけるような組織体制の構築が重要であると考えております。森林経営管理委託契約を推進し、令和3年度末には725名契約を締結し、4,934.30haの森林経営計画を作成することができました。

また、地球温暖化に起因するとみられる昨今の度重なる気象災害に備え、森林所有者の適正な森林管理と林業の成長産業化の実現を目指して、平成31年に「森林経営管理法」が施行されました。森林環境税・森林環境譲与税を財源とした取組も本格的な施策が見込まれることから、当組合は「釜石地方森林整備協議会」に加盟し、地域の森林所有者や組合員、将来を担う小中高生を対象に、森林の持つ公益的機能の重要性を伝えるとともに、森林業の啓蒙、普及活動を行ってまいります。

木材の販売においては、釜石鵜住居復興スタジアムの建設に寄与した「上閉伊地区木材流通協議会」は、新たに株式会社Sanuと協業し、「SANU 2nd Home」への構造材・内装材の供給を開始しました。同協議会の事務局を務める当組合としては、ウッドショックなどの外的要因に左右されない強固な販売体制を確立するため、木製品開発販売事業の充実を図りながら、地域木材のブランド化を目指してまいります。

復興工事の終わりと長引くコロナ禍により、地域経済の冷え込みが深刻化する状況の中で、地域の雇用に貢献するため積極的に若い人材を採用し育成していくとともに、微力ながら地域全体の雇用維持の一助となるため、地域の異業種と連携して森林整備を推進致します。

当組合ではかねてSDGs(持続可能な開発目標)を掲げ、事業を推進してまいりました。この歩みを止めることなく、持続可能な地域をつくっていくため、地域に根付き、地域課題解決にむけた取り組みを進めながら、組合員はもとより、地域に必要とされる組織を目指し取り組んでまいる所存です。

令和4年3月11日